スーツの印象を大きく左右するネクタイ。
様々な柄があり、シーンに合わせて使い分けることによって、相手にポジティブな印象を与えやすくなります。
そんなネクタイですが、何らかの理由で染みができてしまうこともあるかと思います。
染みができた状態で使い続けていると、どれだけ質の高いネクタイを使っていてもネガティブなイメージを持たれてしまうため、早急に綺麗にしなければなりません。
ただ、ネクタイは洗濯機で洗ってはいけないのはご存知でしたか?
この記事では、ネクタイの染み抜きは自宅でもできるのか、やり方や注意点はあるのかということについて詳しく解説していきます。
ネクタイに染みができたら洗濯すればいいのでは?
染み抜きの最も簡単な方法は、洗濯することです。
ただ、結論から言ってしまうとネクタイは基本的に洗濯ができません。
特にシルク100%、柄や刺繍が入っているネクタイなどは洗濯が不可となっており、安易に洗濯をすると色落ちなどの原因になります。
「たぶん大丈夫だろう」
という気持ちで洗濯をしてしまう方もいるのですが、高級なネクタイやお気に入りのネクタイが1回の洗濯によって使えなくなってしまったらショックですよね。
このようなトラブルを防ぐためにも、正しい染み抜き方法を覚えておくことが大切です。
ネクタイの染み抜きを自分で行う方法
では次に、洗濯ができないネクタイの染み抜きを自分で行う方法について詳しく解説していきます。
スチームアイロンを使って染み抜き
ネクタイの染み抜き方法として定番なのが、スチームアイロンを使った方法です。
スチームアイロンを使うことによって、生地を傷めることなく丁寧に染みを取り除ける可能性が高くなります。
染み抜きを行う場合は、必ず当て布をして、低温〜中温に調節したうえで行いましょう。
アイロンが十分に温かくなったら、当て布を介して染みの部分にスチームをかけます。
スチームをかけたら、優しく布で押さえ、染みを拭き取ります。
この作業を繰り返し、染みがきれいに取れるまで行いましょう。
手洗いによる染み抜き
ネクタイは基本的に洗濯機に入れて洗うことはできませんが、素材によっては手洗いができるものもあります。
洗濯表示を確認し、手洗いが可能か確認しましょう。
洗濯表示を確認し、手洗い可能の表示があることを確認したら実際に手洗いしていきます。
やり方は簡単です。
ネクタイをバケツなどに入れ、中性洗剤を入れて20回ほどゆらゆら泳がせ、綺麗な水でしっかりとすすいで乾燥させれば完了。
ただし、強い力で揉み洗いすると型崩れする可能性が高くなりますので注意してください。
また、染みの度合いによっては、手洗いだけでは落ちないこともありますので、その場合は別の方法を検討する必要があります。
ベンジンで染み抜き
デリケートな素材など、水洗いができないネクタイは、ベンジンという特別な薬品を使って染み抜きを行うのがおすすめです。
ベンジンには油を溶かす性質がありますので、食べこぼしや油汚れの染みを綺麗に落とせる可能性が高いです。
口の広いビンを用意して、その中にネクタイを入れ、ネクタイが浸かるくらいまでベンジンを入れます。
その後蓋をして、1分ほど手で振ってベンジンをネクタイに馴染ませてください。
終わったらネクタイを取り出して、ハンガーで自然乾燥させます。ネクタイが乾いたら、当て布をしてスチームアイロンをかけ、シワを伸ばしまましょう。
これで、ベンジンによるネクタイの染み抜きは完了です。
ベンジンは引火性の高い液体であり、扱い方を間違えると重大な事故に繋がりますので注意しましょう。
ネクタイの染み抜きを行うときのコツ
では次に、ネクタイの染み抜きを行うときのコツについて詳しく解説していきます。
これから紹介するポイントを意識することによって、ネクタイについた染みを落としやすくなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
染みを見つけたらすぐに応急処置をする
どのような染みも、時間が経つと中々落ちなくなります。
大切なネクタイの染みを早急に除去するためには、すぐに応急処置をすることが大切です。
染みの種類によって対処法も異なりますので、それぞれ対処法を覚えておきましょう。
油染み
油染みの場合は、ティッシュなどで汚れをつまみ、広範囲に広がらないようにします。
水を浸けて拭いてしまうと、汚れが広がりやすくなりますので注意してください。
水溶性の染み
醤油やコーヒーなど、水溶性の染みについては、今紹介した油染みより落としやすいです。
応急処置としては、染みの裏側に当て布をして、濡らしたティッシュで軽く叩く方法がおすすめです。
そうすることによって、染みが当て布に移りやすくなります。
血液
場合によっては、鼻血などがネクタイについてしまうこともありますよね。
実は、鼻血を含む血液による染みは、時間が経つと酸化するため非常に厄介です。
血液がネクタイについてしまった場合は、すぐに水洗いするのがおすすめです。
水洗いができないネクタイについては、濡れたティッシュで軽く叩いて染みを少しでも取り除いておきましょう。
染み抜きが終わったら必ずアイロンをかける
染み抜きが無事に成功したとしても、それで終わりにはできません。
なぜなら、そのままの状態で放置してしまうと、ネクタイに”シワ”ができる可能性が高くなるからです。
例えば、手洗いをしたり、ベンジンに浸したりする場合、通常では考えられないほどネクタイがぐちゃぐちゃになりますよね。
この状態で放置してしまうと、変な癖がついてしまい、いびつな形になってしまうこともあるのです。
型崩れや不自然な癖を防ぐためには、染み抜きが終わった後にアイロンをかけることが大切です。
そうすることによって、ネクタイの形を維持しながら染み抜きが行えるようになります。
自分で?クリーニング?それぞれのメリット、デメリット
ネクタイの染み抜きは、やろうと思えば自分でも行えます。
ただ、以下のようなメリットとデメリットがありますので、事前に確認したうえで行わなければなりません。
自分でシミ抜きを行うメリット、デメリット
ネクタイの染み抜きを自分で行うメリットは、下記2つです。
- 時間がかからないこと
- お金がかからないこと
自分でネクタイの染み抜きを行う場合、自分のタイミングかつ好きな方法で行えます。
時間さえ確保すれば、その日のうちに行うことも可能です。
また、お店や業者に依頼するのと違って料金が発生しないため、最低限の道具代だけで行えるようになります。
反対に、ネクタイの染み抜きを自分で行うデメリットはこちら。
- 染みが落ちない可能性があること
- 型崩れ、色落ちなどのリスクがあること
ネクタイの染み抜きは意外と難易度が高く、先ほど紹介した方法を実践したからといって、必ず落ちるわけではありません。
場合によっては、染みが落ちなかったり、ネクタイに何らかのトラブルが起こってしまったりすることもありますので注意しましょう。
お気に入りのネクタイであれば、自分で染み抜きを行うのは避けた方がいいかもしれません。
ネクタイの染み抜きをプロに任せるメリット、デメリット
ネクタイの染みを確実に落としたいのであれば、プロに任せるのがおすすめです。
メリットとしては下記のとおりです。
- 染みを徹底的に落とせる
- 型崩れ色落ちなどの心配がない
- 時間や手間を省きながらネクタイのメンテナンスが行える
プロのクリーニング業者は、ネクタイをはじめとする様々な衣類のクリーニング方法や染み抜き方法を熟知しています。
これまで培ってきた経験と知識をもとに、丁寧に染み抜きを行ってくれるため、仕上がりにも期待できるのです。
また、自分で行う必要がないため、忙しい方や知識が一切ない方にもおすすめの方法です。
ネクタイの染み抜きをプロに任せるデメリットは…
- お金がかかること
- 時間がかかる場合があること
プロに依頼する場合は、当然料金がかかります。相場としては300~500円ほど、シルクなどの繊細な素材だと1,000円~2,500円ほどになる場合もあります。
依頼する業者によって料金は異なりますが、少なくとも自分でやる場合に比べると高額なコストがかかります。
また、依頼状況によっては仕上がりまでにかなりの時間を要することもありますので、事前に確認しておかなければなりません。
ネクタイの普段のお手入れ
ネクタイの普段のお手入れは、以下の3つが重要です。
これらのポイントを押さえて、ネクタイを長くきれいに保ちましょう。
着用後はすぐにハンガーにかける
ネクタイは、着用後はすぐにハンガーにかけて干しましょう。
汗や皮脂が付着したまま放置すると、シミやニオイの原因になります。
ハンガーにかける際はネクタイの結び目を緩めて、平らに広げてかけましょう。また、ネクタイの芯地が折れないように、注意してください。
汚れやシワをこまめに落とす
ネクタイに汚れやシワが付いた場合は、こまめに落とすようにしましょう。
汚れは、水で濡らした布で拭き取るか、クリーニングクロスで拭き取ってください。
シワは、ハンガーにかけておいたり、アイロンがけしたりして伸ばしましょう。
汚れやシワがひどい場合は、クリーニングに出すことをおすすめします。
定期的にクリーニングに出す
自宅でお手入れをしていても、すべての汚れを落とすことは難しいです。
そのため、定期的にクリーニングに出すようにしましょう。
クリーニングでは、汗や皮脂などの汚れを落としてくれるだけでなく、シワや型崩れを防ぐことができます。
クリーニングの頻度は着用頻度や使用状況によって異なりますが、目安として1シーズンに1回程度がおすすめです。
まとめ
ネクタイは、スーツの印象を大きく左右する重要なアイテムです。
そんなネクタイに染みが付いてしまっては、どれだけ質の高いネクタイを使っていても意味がありません。
ネクタイは基本的に洗濯ができないことが多いため、工夫して染みを落とす必要があります。
今回紹介した方法を実践することによって、大切なネクタイの染みを綺麗に落とせる可能性が高くなりますが、確実ではありませんし、場合によっては失敗したり、効果が出なかったりすることもありますので注意しましょう。
効率的かつ確実に、そしてスピーディーにネクタイの染み抜きを行いたいという方は、クリーニングのプロに依頼するのがおすすめです。